モチベーション

 卓球の練習に励んでるとき、「なんでこんなことで、汗流してるんやろ」とか思うこと、ありませんか?
 なんとなく、おもしろい、ではじめた卓球。強くなりたい、ではじめた卓球。
 はじめたきっかけはきっとみんなそれぞれだと思います。それぞれの理由ではじめ、それぞれの理由が、理由じゃなくなったとき、ラケットを離してしまう人がいます。私は、それはそれで、悪くないんじゃないかと思います。楽しい、と思っていた卓球が楽しくなくなったとき、やめる、というのは自然だし、無理してやる必要はないと思います。

 でも、実際のとこ、そんな単純なケース、少ないんですよね。2,3ヶ月ならともかく、1年2年やってたものは、なかなかやめるには決断が必要で、ずるずる「つまらない」と思いつつもやっている、そんな人も多いと思います。かくいう私も、長らくそういう時期がありました。今でも時折あります。先に「やめてしまうもよし」と書きましたが、私のように、なんどとなく「おもしろくない」という時期を経たにもかかわらずいまだにラケットを握っている人間がいることから、長いスパンで見て、なんだかんだいいつつ、ラケットを握りつづける人間は多いような気がするのです。

 だから、練習してて、やる気がなくなったとき、いかに前向きになるのか、いかにモチベーションを高めるのか、ということも、ひとつの能力として持っておくべきだと、私は思います。やる気なくしてだらだらやってても、一生懸命やってても、同じ時間を使っているのですから。

 その方法として、よくいう方法は「目標を持て」ですね。でも、この言葉は気をつけなければいけません。こんな時代です。情報はたくさんあります。はっきり言って、「夢を持て」というのは心に響きません。昔は、といってもどれくらい昔かわかりませんが、夢をもてました。それは、情報が少なかったからだと私は思います。情報が少ないから、「俺はオリンピックに出るんだ」と思うことができます。今は、無理です。オリンピック選手がどれくらいの練習をしていて、どれくらいの才能がどれくらいの時期から芽が出ていたのかということがわかるのですから。第一、オリンピックに出たところで、必ずしも幸せでもない、ということもみんなが知っている以上、強いモチベーションにはなりえません。これは身近な大会でも似た部分はあります。
 では、こんな時代にどのようにモチベーションを高めるのか。私は1日、1日を大切に、その日の目標をクリアしていくことだと思います。月並みですが、これに勝るものはないです。もちろん、1日が1週間でもいいのですが、要は、「フォアのここを直そう」とか「このサービスができるようになろう」とか、そういう目標を設定するのです。
 私はこれを、中高年のプレーヤー、および初心者から学びました。中高年のプレーヤーにとって、体力の伸びはなく、また、学生にように3年や4年というふうに時間が区切られていません。それゆえ、あせらず、ひとつひとつの技術習得に集中されるようです。また、初心者は目の前の技術を覚えることに必死です。それがどこかで、「次の大会でベスト8に入ろう」とかいう目標にすりかわってきます。こうした目標も、必ずしも悪いものとは思いませんが、やはり結果は結果に過ぎず、達成できなくても言い訳ができてしまう目標ですから、強いモチベーションにはなりえないような気がします。

 今日はこの技術、やってみて駄目だったら、また明日この練習。覚えられたら次は何をやろうか。こういう練習、実は一番モチベーションが高まるのじゃないかと思っています。

N.Torii(2000-12-23 )