フォア打ちを安定させる練習方法―――実践篇

☆☆ 考え方 ☆☆

 ショートは入るけど、フォアハンドが試合では打てない。こういう人は多いですね。とくに女性 に多いように思います。
 卓球が老若男女楽しめる、愉快なスポーツという所以はショートにあります。ショートは体力の ない女性でも、お年よりでもできる。技術の基礎条件として、あまり筋力が要求されないのです。 ショートとフォアの最大の違いは筋力。筋力がないと、ショートはできてもフォアは打てません。まずこれが大前提です ね。
 女性はあまり筋肉をつけるわけにはいかない、ということもあるでしょう。また、年齢による体力の衰えは いかんともしがたいと思います、若いころにきれいなフォームを身につけた人は別ですが。
 私の考えでは、フォアについては残念ながら一定の筋力がなければ正しいフォームでは打てない、 と考えています。通常の女性の体力では木製バットをまともに振れないことを思い浮かべていただければいいと 思います。
 ただし、それはフォアハンドは一切できないと言うことでなく、王道の打ち方ができないだ けで、それなりにいろんなやり方で打てると考えてください。ここでは基本的に京都府立大学卓球 部のレベルを前提にしていますので、きちんとした打ち方ができていない人、できない人でもそれなり のプレーができるような練習を紹介します。もちろん、男子の、ちゃんと筋力のある人でも練習に なるはずです。

☆☆ 練習方法 ☆☆

フォアサイドにきたボールに対処する

  1. フォアサイド半面だけを使った小さいフットワーク練習。
  2. 1.に、ショートを付け加えたフォア・フォア・ショート練習。
  3. フォアブロック練習。相手にフォアサイドに中〜強打で打ってもらいブロックする。フォアクロスの ほかにフォアストレート、バッククロス、バックストレートなどもやってみる。後の2つは実戦的で ないと感じるかもしれませんが、やってみると身体のさばきがうまくなります。
  4. つっつきボールを多球で出してもらい、台から少し離れてドライブでいれる。テンポはゆっくりで よい。フォアサイドに対して来たつっつきに強くなる。 フォアうちを普通につなぎながらスタンスを徐々に変える。(オープン→クローズ、狭い→広い、な ど)

 スタンスがまずい人をよく見かけます。フォアは基本的にクローズスタンス(台と両足の角度が30 〜45度くらい)が打ちやすいはず。ショートが得意な人ほどオープン(台と両足が平行)になって います。スタンスは人の好みですが、原則はそう考えて間違いないと思います。

フォアで攻撃したい・安定させたい

 みなさんおなじみの三球目攻撃練習が一般的です。5球目までコースを決めてやるのがいいでしょ う。基本的にはそれをひたすらやっていればいいと思いますので、ここではちょっと変り種の練習 を紹介しましょう。

  1. コース限定で試合をする。ここではフォアクロス限定がよいでしょう。ようするにダブルスのサービス 可能エリアだけで試合をするということです。フォアで打たざるを得なくなり、低いレベルでもラリー がつながるので、ラリーの中で自然にフォアで攻撃ができるようになります。
  2. ブロックの上手い人に受けてもらい、4〜5球フォアをつないだら1球打ち、返ってきたらつなぐ。 また4〜5球つながったら打つ、を繰り返す。

 

☆☆ Point ☆☆

 フォアの攻撃・ブロックは非常に難しい技術です。その人の卓球の総合力にもかかわるので一概には いえませんが、上手くできない人の多くは、実は技術というより、予測能力ということではないかと 思います。実際、練習ではうまくできるのに、と言う人も多いので。
 ここでいう予測能力とは「次はここに来る!」と予想する能力ではありません。そういう読みは 必要なのですが、少し高い次元の話だと思います。僕の言うのは自分の次の動きをイメージする能力 のことです。身体の動きよりも頭が先に動く、といえばいいでしょうか。とにかく、相手のボールが台に 届く前に、自分が次にどんなうち方をするのかをイメージしておく。それによって、0.01秒の振り 遅れを防ぐことができるのです。この予測能力の育成については項を改めたいと思います。

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